【ちっごのお土産】赤坂人形
恋のくに委員会のしーです。筑後市に江戸時代の頃から伝わる郷土玩具「赤坂人形」を紹介します。
なんとも言えない素朴な風合いが特徴で、福岡県知事指定の特産民芸品の一つです。
筑後市の赤坂と呼ばれる地域には、焼物に適した土が取れたことから、「赤坂焼」と呼ばれる焼物が盛んだったそうです。最盛期で、6軒ほどの窯元があったそうで、江戸時代の久留米・有馬藩の御用窯として重宝されました。
当時の職人たちは月給制ではなく歩合制。暇を見つけて人形を作って焼き、それを売ることで少しでも生計の足しにしたんだとか。中には、農家をしながらアルバイト感覚で、小遣い稼ぎで人形作りをしていた方もいらっしゃったそうです。
小さい子どもの遊び道具として作られ、中には笛のように鳴らすことができるものもあります。一方で、大黒様のお面やネズミといった縁起物も作られています。ネズミは豊作のしるしですもんね。
現在、赤坂人形を作っているのは一人となりました。野口紘一さんです。昭和16年に生まれ、現在83歳。生まれてすぐに大東亜戦争を経験しています。
先ほど、農家をしながら人形作りをしていた人もいたと書きましたが、野口さんは飴屋をしながら人形作りをしています。赤坂飴という、これまた素朴な飴で、七五三の千歳飴なども手掛けています。紘一さんで6代目。現在、7代目の息子さんが人形作りを手伝っています。
野口さんが手に持っているのは、赤坂人形作りに欠かせない「型」です。これに焼物用の土を詰めて型を外し、それを素焼きします。二つの型を合わせた時に、土が少しはみ出てしまい、それを「耳」と言うんだとか。一般的な焼き物は、耳をきれいに取り除くのですが、赤坂人形の場合はそのまま。
人形を手に取った人が「耳も取り除かずに、この人形師はいい加減で下手くそだなぁ」と思うことから、赤坂人形は「ててぽっぽ(下手くそとか不器用といった意味)」と呼ばれたりもします。
先ほどの、大黒様の型を見つけました。
色付けには、食紅が使われます。子どもがおもちゃとして触るものですから、口にいれても大丈夫なように。色数もそんなに多くはありません。色の種類が少ないことも「ててぽっぽ」と呼ばれる由縁です。
現在の生産数は、一年で100~200個程度。これを毎年一回、まとめて作っていらっしゃるそうです。ですので、たまたまインターネットで「あ、この馬が可愛い!馬がほしい!」と思っても、在庫がなかったら、一年待ちになるそうですよ。
ちなみに作られた商品は、東京や福岡県内の民芸品店などで取り扱われています。
■赤坂飴本舗(赤坂人形)
住所:福岡県筑後市大字蔵数312
電話番号:0942-52-4217
※営業時間やお休みは不定となっています。御用の場合は、事前にお電話をいただけると有難いです。
※取材は2024年12月に行いました。情報は取材時のものですので、変更の可能性があります。ご注意ください。